先日、自分より年の若い人たちと話していて(こういうことを書く年齢になってしまった)、
相手にインタビューする時の心構えや技について尋ねられた。
インタビューというとぎょうぎょうしいのだけれど、要は知りたいことを聞いたり、
自分が知り得なかったことを語ってもらうための場づくりというのだろうか。
話し上手な人は勝手に語ってくれるからいい。
とはいえ、合間をみて軌道修正をしなければならないのだけれど。
話し下手、話に慣れていない人に語ってもらうのはどうするのか。
『評伝 宮田輝』
NHKアナウンサー宮田輝。
親しみやすい語りで戦後の復興にある日本国中の人々を元気づけたという。
私が生まれた頃にはアナウンサーを辞めていたようなので、意識して彼の語りを聴いたことはない。
宮田さんはのど自慢番組等で全国をまわり、市井の人々の声を聴いてきた。
人々の様子をよく観察し、彼ら・彼女たちが心地よく語れるように、言葉をかける。
いい頃合いで言葉を一歩踏みとどまる。
本書にはそんなエピソードが随所にちりばめられている。
北風と太陽よろしくふと胸襟を開きたくなるような雰囲気を醸し出す。
ちなみにまだ何者でもなかった北島三郎や大臣になりたての田中角栄とのやり取りも、
人情や気骨が垣間見れて面白い。
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by gyaxin
| 2022-05-28 19:02
| artistic review